「岩崎弥太郎」の遺志は長男の「久弥」と、その子供達が名門の岩崎家として明治の時代を継いで行く。
「喜勢」(「弥太郎」の夫人)、「久弥」(「弥太郎」の長男、三菱合資会社社長、男爵)、「寧子」(「久弥」の夫人)の着座する3人を中心に。
長男・「彦弥太」（元三菱地所取締役）、次男・「隆弥」（元三菱製紙会長）、三男・「恒弥」（元東京海上火災保険常務）、長女・「美喜」
(外交官澤田家へ嫁ぎ、次男の澤田久雄は歌手の安田祥子の夫で由紀さおりの義兄にあたる。)次女の「澄子」(旧北白川宮親王の
縁戚に当たる甘露寺家へ嫁ぐ)、三女「綾子」(福沢諭吉の孫に嫁ぐ)
・・・とまあ、「久弥」の息子達は財界などのトップに位置する役職に、娘達は由緒ある家へ嫁ぐ、きら星のごとく輝く華麗な一族の写真
である。

竣工当時のままの洋式トイレで、機構そのものは現代と変わらない。便器、洗面台の陶器は文化12年(1815年)、英国ロンドンの
ランベスに設立された世界的陶器メーカ「ロイヤル・ドルトン」社のものである。
そんな一つ一つが世界で名だたる品々を取り寄せ、設備として使われているのである。

暖炉上に花台が据えられるなど、来客者のための談話室の部屋と想像される。2階は比較的プライベートな空間であったが
家族が集まる部屋は当時は未だなかった。