◇夏つばき、蘇生にかける

微かな望をかけ夏つばきの蘇生にかける。
本液は食物に欠かせない鉄を2価のイオン(Fe++)として含まれ、化学合成成分を一切使わない安全で環境に優しい活力素である。
本液は衰弱木の回生、移植木の活着促進を目的に使用する。・・・・以上、メネデールのカタログ表記
(樹液の投入)
幹に穴を開け、「一発、入魂」某プロレスラーではないが、かすかな生への望を託して、仮死状態の「夏椿」と病身の「つげ」の二本
に気合を入れた。
太い幹に、ぶちゅっと穴を開け、メネデールと言われる樹幹注入に、樹木活性化に望を駆けた。
幹が固く、穴が中々開かない。ゴムのキャップをはめて樹幹注入にかかるが、接合が上手く行かず、外に漏れる量も多かったが、
注入口が幹に何とか納まった。
こうして、樹木活性剤を僅かな液柱差で染みこませ、気長に樹幹注入を図る。
その効果は如何に?
その結果は時間を要するが、気の焦りもあって、6月に続いて半年後の2回目の「一発、入魂」を実施し追い打ちをかけた。
何の根拠もない、回数依存の再生効果があるのか、藁を掴むような気持ちで、注入にかけた。
メネデールと言われる樹幹注入に、 迷いの世界に命あるものは生死を繰り返す2本の植木が修羅場での戦い、正に「輪廻天生」にある。

悟りの境地に往ける者よ
悟りの境地を往った者が"菩提"である。幸いあれ。 ・・・合掌
正に成仏してしまったのである。


一向に変わらぬ樹木の姿に最早これまでと、ある種の決別を下した。既にモニュメント化してしまった樹木をこ
のまま何時までも、晒すわけにも行かず、撤去にかかることにした。


長期に渡る「夏つばき」の蘇生に期待を寄せて、一縷の望を掛けた。しかし、そんな願いも全く適わなかった。
「枯れ木に水」であったろうか、樹木に変化は現れず再び息を吹き返すことはなかった。

◇蘇生叶わず

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