終点根室駅から僅か1.5kmの距離にあり、時間にして2分余りで
ついてしまう最初の駅が「東根室」駅である。
他にこれといった物がないだけにホームの上に立つ「日本最東
端の駅」の看板だけが目立つ駅である。この特別な位置を示す
看板だけが、此処に到達した証を示すものであり、一部の鉄
道フアンに、特別な意義を持つだけで、それ以外には何もない
一ローカル駅である。
ホームに掲げられた時刻表が目に入る。下りの根室方面の平日
ダイヤは10:36発最初に1日4本のみで、上りとも併せてもこの駅
に止まる列車は10本程度である。
利用しようにも列車が来ない、この淋しい運行ダイヤに、見放され
ているのか、1日の乗車客も10人に満たないようである。

駅周辺はご覧の通り、コンクリートの共同住宅や一戸建ての家も立ち並ぶ住宅地があり、駅はその住宅地の一角の空き地にある。
この佇まいから人も住まぬ広漠たる原野の中の駅ではないことが判るが、住民が利用するには限られる列車本数に自然に足は遠
のき、淘汰してしまうような感じがする。
空き地の一角には日本最東端が書かれた古木を利用した塔が僅かに立っている。この塔と僅かなホームに駅舎を探すのに骨がおれ
近くの居住者に聞き、住宅地の空き地の一角に漸く探し出した淋し～い「東根室」であった。人気のない静寂な世界に珍しく、空き地の
長椅子にお兄ちゃんが一人、時間的にも列車利用とは思えず、てっちゃんの一人のように見えた。

駅ホームから、釧路方面の線路を眺める。ご覧の通りの駅は大きな弧を描くヘヤーピンカーブで西に向かって行くが、このカーブ
上に駅があり、路線の一番東に位置していることが判る。
駅舎は材木を置きならべた簡素なプラットホームに僅かな安全柵だけで、列車の待合に雨露をしのぐ屋根もない、完全な青天井
の世界である。