紅葉の木の下に、普段見かけられないおびたただしい黒い粒状の物体が散乱している。過去の経験から毛虫の
糞であることが判り、そこで初めて、天敵である毛虫の襲来に気付いた。
目線を凝らすまでもなく、木全体を眺め、その目線に白に近い緑の派手な色の毛虫がいるいる。
その大きさは指先位であるが、全身毒針に覆われ、毛先が輝く派手な姿だけに、居場所が直ぐ判る。
既にくすんだ色の紅葉の葉っぱを背景に金色の色で輝く姿は大変目立ち、堂々と構えていた。

敵は殆ど動かず、不気味な姿で構えているが、木の高さも3mを越えており、見れ見るほど、その数の多さ
にどう捕縛するか、しばし悩む。

その不気味な姿にあそこも、ここも、いるいる。その毛虫の周辺の葉っぱは旺盛な食欲に無残にも食われている。
食い散らかした葉っぱが次々に枯れ、木全体が蝕まれ、精気を失っていることが判った。