グランドは我が家から多摩丘陵を挟んだ南西側に位置する八王子市南大沢にある。
多摩ニュウタウン通りを南西側に向かい、多摩境の手前のトンネルの入口付近の高台に位置する。
写真の通り、周囲は住宅地から外れた小山内裏公園に隣接する高台の一角で、外部からも隔離さ
れた場所だけに背後の鬱蒼とする自然の中、野球に没頭できる環境である。

両翼93m センター120m 黒土と砂の混合土夜間照明付その名も"王貞治記念グラウンド"の名に
相応しい、野球環境である。
そんな夏の優勝の余韻をじっくり確かめながらも、既に次の練習が始まっている。
汗と涙の感動を生んだ甲子園の土もきっと、このグランドの土と混ざり、新たなヒーローの誕生
を生むのであろうか、その土にまみれた若者達が輝いていた。

打者としてその輝かしい実績を残し、今や世界の冠たる"王貞治記念グラウンド"である。
彼らにとっても偉大な大先輩王貞治もなし得なかった、高校野球の頂点である優勝の歴史を刻んだ。
その王貞治も、2006年は色々なことが起きた。
王貞治監督率いる日本は、国別対抗戦「ワールドベースボールクラシック（WBC）」で、アメリカ、
韓国にも破れ、殆ど可能性の少ない中から、勝ち残り、決勝戦ではアマチュア最強軍団のキューバ
と対戦し、打ち破り、WBCを栄冠を手にした。
その王監督は喜びに浸る間もなく、プロ野球を開催中に大病にかかり、胃を摘出する大手術を実施した。
手術は成功したようであるが、ほお落ち、目も窪み、げっそりとした姿はかっての英雄の姿も見る影もなく、
哀れであったが、フエニックスのように立ち戻ってきた。
後輩達がなし遂げた母校の優勝、WBCの優勝と輝きに満ちた栄誉と、暗転した病との戦いに人生の
起伏をいっぺんに味わった2006年ではなかったのではと思える。
そんなワンチャンが唯一出来なかったことを夢に託し、この球場を作り、その冠名を残し、野球道にかける
志を後輩に伝え残したのであろう。