免許取得はそんな生易しいものではなかった。
運転席、補助席の個室の中で受験生として教官との刺しでの戦い。接客業でもあるが、その対応で高慢・高圧的な
鬼教官の巡り合わせに、我慢も必要であった。
最初の節目、仮免でしくじり厳しい関門であったが、何とかクリアーし構内限定のコースから晴れて路上に出られる。
路上では構内で無かった急坂にエンストを起こし、パニック陥り、最悪の路上デビュウであった。
失敗も経て、トントン拍子に進み順調にステップアップしたが最後の路上綜合で、つまづき、改めてハードルの高さを
思い知らされた。
練習の評価も、芳しくなかったが、再度の本番で気合を入れ、何とか卒業検定を合格した。
「練習時以上ものがあった」と講習時で同乗した教官に評価された。
苦渋の洗礼を受け教習所通いも終わり、いよいよ最後の府中試験場で受験し、晴れて合格発表で免許取得する。

当日は教習所で仮免と本免の合格のお墨付き貰い、教習所に集まる。教習所で用意された専用バスに、受験資格
を取得した教習生が満載になって、試験所での学科試験に臨む。
それぞれ合格祈願の思いが、一体になって乗り込む特別車両であった。

円筒型のコースの外周部に往復車線が用意され、外周部に沿って周回出来るコースになっている。その内側に
細かく仕切られたＳ字カーブやクランクのコース共、併せ、信号機と番号標識が用意されている。
教官指示により、この迷路のようなコースを乗りこなす。路線の堰堤乗りあげや逸脱、一時停止違反や信号無視
は罰点となる。
ここを困鼠のように走り、一定レベルに達すると、屋外コースに出られるが、卒業まで厳しい教習が行われる。

これで夢想の世界の存在であった車が、現実に目の前に現れ、道ある限り、未知の世界に思い切って
走ることが出来る。
車世界への仲間入りは未知の分野への挑戦でもあり，不安もあるが夢もある