その過去の蓄積された画像はMOをドライブに入れ、読めて当たり前、読めないこと
など考えても見なかった。
旅行、成長の記憶、特別なイベントなど、その時代の唯一の記録であり、その時代に
カレンダーを巻き戻すことが出来ず、喪失する大きさは図りしれない。
それが、手許のMOの一部が劣化して、ある日突然謀叛を起こし、家宝の画像データが
読めなくなった。

MOをドライブに入れたり出したり、その画像が時に見えたりすることに、画像取り込みが更にエスカレートし、一縷
の望みと、とうとうMOドライブの解体に走った。
「おい、おいそれをやっちゃあ～おしまいよ」柴又のとらさんもきっとこんなせりふで、呟いたであろう。
でも、其処に見えてる画像に最早止めることは出来ず、暴走は止まらなかった。掟を侵し、心臓部まで手を広げ、
最早収集が効かなかった。
丁寧に組み立て、やがて元の姿に戻したが、ドライブ本体も動かなくなった。
案の定、犯した領域に繊細なメカニズムが狂ってしまった。
たった１枚のMO如きに執着するあまり、MOドライブまであの世に道連れにし、再び復元する機会まで失ってしまった。

最早、戻る事はあるまいと、半ば興味本位で内部分解。MOの挿入、取り出し、回転駆動の複雑なメカニズムなど
詰み上がった内部の世界は驚嘆する精密な装置であった。

劣化したMOは最早諦め、素人には禁じ手であった、MOを解体、不完全な組み立てでドライブに差し込み、僅かな望みを
託した。分解し、クリーナーで清掃の上、再組み立て後も、多少の変化もあったが、劇的に全ての画像が復元することは
なかった。
構造は簡単であるが、微細なスプリングのはめ込みなど、撥ねたり、飛んだり、上手く組み立てられず、何度かトライした
上で漸く収まるなど大変苦労する。

下の写真は、画像ファイルは開くが途中で、ひっかかり、固まってしまうのである。一部の画像が見えているだけに画像
データを何とか救えないだろうかと、ドライブに何度か繰り返し試みたが、タイミングによって、開くこともあったが、完璧に
元に戻る事なかった。