市場でいざその当事者になるまでには、色々のハードルがある。
取引について、出品から落札、相手の評価までの流れと、そこで何をするか、その時の遵守事項など膨大な記事があり、画面上だけ
では全部が頭に入り切れず、印刷して紙ベースで落とし、理解の一助とした。
出品する場合は会員登録と本人確認がある。
会員登録まではパソコンに向き合い指示通り、入力するだけであるが、データ入力送信と確認の往復がある。5000円以上で入札する
場合Yahoo!プレミアム会員登録が必要になってくる。この登録の最後には本人確認の重々しい儀式があり、認証される。
本人確認は「Yahoo本人確認証」を持った佐川急便のおにいちゃんがやってくる。登録する本人を確認する一つとして運転免許証を提
示し、更に携帯端末から入力し、本人の物として、確認し「Yahoo本人確認証」を晴れて受け取る事が出来る、厳しいものであった。
拙宅の玄関前で寒空の中、携帯端末を翳し、本部からの結果待ちに、おにいちゃんと査問にかけられる"じいさん"と、黙して語らず、
無言の立会いの不思議な世界であった。そのさめざめとした時間の長い事、此処は忍の一字で待つしかなかった。
「Yahoo本人確認証」を渡してしまえば、暗黙のにらみ合いも、ノーサイドにと思い、重苦しい空気を払拭しようと、受領以降の処理を尋
ねた。しかし、厳選な審査官のお役目の立場からか、それ以上の深入りは無用と封筒の中身に及ぶことはノーコメント、さっさと車に乗り、
逃げる様に立ち去ってしまった。
「畜生、愛想のないやつめ」と思いつつも、認証業務を忠誠に尽くす、組織人であったのである。
その間、「Yahoo本人確認証」からデータを入力しても、即座に認められず、翌日に確認のメールが送られてくる。オークションのユーザー
登録から始め、入札の機会を貰うまで5日間もかかった。

一人の売り手が出品し、複数の買い手が、指し値を行い、競り合い高い、指し値で落札することは頭で理解しているが、ネットの空
間だけの場で、お互い知らないもの同志が物を売り買いする行為に一抹の不安が伴う。
例えば、築地の市場では、目の前のマグロを前に色、艶、輪切りにした部位から、プロの目で評価し、値を付け、せりが始まり、落札
する仕組みが自然に行われている。
しかしネットの場合は写真と説明文、それに質疑応答でのやりとりだけの限られた情報で、出品物を評価し、価格を決めていかなけ
ればならない。曖昧さを残し、リスクを承知で売り買いする一種のかけなのだろうと思えてくる。
セリの場はYahooが提供する。但し、やりとりは当事者同志で自主的に進め、一切口を挟まないがトラブルは相談に応じてくれるが
あくまでも当事者同志の自己責任のようである。
例えば、落札して、お金を振り込んだかが、品物は届かない。或いは買った品物が動かないことも有る様である。そんなことから、高
額な取引については、厳しく本人確認をする。更に取引後に出品者と落札者間で落札後に評価し、評価点を積み上げ、公表し、信頼
関係に繋げる。