車の周辺に積もった雪は玄関からの道が完全に塞がった。その雪をかき出し、漸く、外に通じる道が確保され、
孤立した家からの脱出に成功した。表の門が開けられ埋没した車の救出にかかる。堆く積まれた届くまでの
周辺を掘り起こし車にとりつく事が出来た。
余りの雪の多さに、積もれた雪をスコップで降ろしたのは良かったが、スコップの先端で車カバーを破ってしま
った。絶対やってはいけないことをやってしまった。

高く積まれた雪のため、車はカバーに覆われ、雪解けまで暫くは出番はなかった。雪も溶け、晴れて、車のデビュー
となった。白日のもとに晒され、天井部の凹みが判り、の哀れな姿に、観る方も凹んでしまい愕然とした。
どうやら二回目の湿り気を持った雪の塊の一つが車の屋根に直撃する悲劇が起こった。経験のない豪雪に、積もった
雪がただただ落ちるに任せ、備えようがなかった。
周辺の修理屋に、あっちこっち駆け回ったが、その雪害事故で板金屋さんが大繁盛であった。不急の出費を抑えるべく、
ひっぱりで修繕する"デントリベアー"なら、安く収まりそうであったが、エクボ程度の凹みに限定され、今回は使えない事
が判った。完璧に直すには古典的な施工、叩いて、伸ばして、再塗装仕上げなら復元出来るが、ン十万の出費が必要に、
なることが判った。
廻った修理屋の一つ、お兄ちゃんが試しに車内に入り、思い切り天井を持ち上げたら、ポコンと音をたて、元に戻った。
天井部の凹みは、良く見ると確認出来る程度であった。老朽車に金をかける気もなく、持ち主の身分相応に、脛に傷持ち
の、老体で走らされことにした。

屋根に積もれた雪が屋根の傾斜で自然に滑ってくる。屋根の桟まで来た雪は垂れ下がり、雪塊が時間をおいて
落ちて来る。両手で抱えるぐらいの大きさに数㎏はあるだろうか、夜中にドスンドスンと凄い音に目を覚ましたが、
手の下しようが無かった。
その塊の一つが車の屋根に直撃する悲劇が起こった。見事に屋根がぼっこりと凹んでしまった。