変電所の西250mに位置した給水塔があった。
変電所が工場に電気を送る重要な施設であれば、こちらは水を供給する重要な設備であった。
地下150mから水を汲み上げ、一旦此処で蓄え、工場に送水していた。豊富な地下水は60年余り変わらず、工場で使う、
殆どの水をまかなっていたようである。一際目立つタワーのため、変電所同様、格好の攻撃目標となり夥しい弾痕の跡
や迷彩塗装の跡が残される、貴重な戦争遺構の一つであった。
文化財として永久保存の話もあったようであるが、残念ながら調整がつかず、工場の移転に伴い平成13年に取り壊された。
その塔の一部を切り取り、現在は変電所の敷地にモニュメントとして設置してある。

かってはシンボル的存在として、或いは道案内の目標として、天空高くその雄姿を見せていたが、周辺の開発の渦の中に
その姿は消えてしまった。

旧日立航空機株式会社(現在の小松ゼノア株式会社の前身)は110余名に及ぶ死者と負傷者のなど多くの従業員が犠牲になった。
この慰霊碑は元従業員の方々が戦後の50年の節目に市民や縁の人々の寄付によって、小松ゼノア(株)の構内の一角に建てられた。
平成11年同社が移転により慰霊碑もこの場に移された。場所は都立東大和南公園(西武拝島線玉川上水駅北側)の一角にある。

給水塔の上部は既に建設機械で切り落とされ、僅か底部がモニュメント用として残される。無数の弾痕跡と迷彩塗装の跡が
くっきり残される。削り録られた部分に筋が見えるが、正にこれが筋金入りの堅牢な構造となり、爆撃されても倒壊は免れた。