軍事停戦委員会(MAC)は1963年以来、休戦協定を守るため、その緊急度合いに応じて第1級から第4級まで4種類の会議が此
処で行われ、維持されている。
その重さは休戦協定を著しく違反した場合から、やや軽い休戦協定違反、休戦委員会に重大な影響を及ぼす恐れのあるもの、更
には両側の監視兵達との緊張を和らげる必要があると見なされる場合などグレードの重軽に応じた会議が具体的に行われている。
中でも第3級の「共同当直将校会議は日曜、祭日を除いて、毎日正午に行われる。
従って、我々が見学した時間も11:00を過ぎていたが、この後に南北と国連の将校が集まり、会議が行われるのでここに居られる
のも僅か数分であった。
監視兵の前のテーブルの中央が軍事境界線であり、此処を境に南北に向かい合いながら着座する。

軍事境界線上の会議室は7つあり、この中で3つは国連軍、4つは北朝鮮軍の管理下にある。
先程、見てきた会議室は国連軍の管理下にあり、常に開放されており、南と北が対話する唯一の接点である。
朝鮮戦争以来、未だに続けられる東西の国際社会のナショナルリズム争点で、折り合いも見えないままの世界の冷戦を象徴する
歴史的な場所でもある。

ご覧のように会議テーブルと出入り口には2人の監視兵が立っているが、初めはマネキン人形だと思えるぐらいに全く微動だにせず、
直立不動の姿勢は正に筋金入りのものであった。
彼らは徴兵制度で兵務についた憲兵であり、軍紀の厳しい韓国陸軍第1師団の所属である。
身長・体重は平均以上、基礎英語の読み書きが自由自在で、黒帯以上の実力の各種の武芸能力を保有する、文武両道のエリート
陸軍兵士である。
頭の天辺から足先まで手入れの行き届いた制服姿は韓国軍の威厳を示すもので、その顔姿から、初々しく思えるが、鍛え抜かれた
姿が実に新鮮に目に映った
南北両軍が境界線を隔てて顔を合わせているが、原則として南北兵士は軍事境界線を越えてはならず、相手兵士と会話は厳しく規制
されている。