公園の一角に水面績約5haの「水鳥の池」は浮き島や中の島と呼ばれる島がある。水辺にはアシやガマなどの植物
が茂り、鳥や昆虫、魚などの動物が生息出来る世界がある。これらの世界に、小さなボートを自走で入って、水面に
近い位置から、異郷の世界の慧眼を確かめることが出来る。

船着場の青いユニフォームを着た係員の手招きに、あかさま、鮮やかに接岸する。係員の手でボートは引かれ、
護岸に固定され、揺れるボートから地上に降りる。不安定なボートから橋にわたり、地上の人になった。
エンジンパワー全開で、ペダル漕ぎで、普段使わない、ひざから下が、もうよれよれであった。ふらつくボートから
コンクリートの固い地盤に踏み出す一歩が、月面着陸のようで、異郷の世界であった。
3人を乗せたボートを意のまま、操り、無事にスタート地点に帰れた、ある種の冒険をやり遂げた達成感にあかさま
も満足の様子であった。

時折、水面から、黒色の固まりが寄ってくる。水面下に居るため正体は判らなかったが、大きな鯉の集団であった。
大きな口をパクパクして、サインを送っている。どうやら、ボートからの餌欲しさに、警戒心もなく、求めているようで
あった。
広い水辺の世界に浮かびながら、360度開けた眺め、ながら鳥、魚に触れ合う空間を楽しみながら、あっと言う間
に定刻の30分は迫ってきた。

愈、ボートは離岸し、広い水面を走って行く。
池には障害物が接触しないように、浮き玉と旗が立っている。更に同類のローボートやサイクルボートが、多数浮かび
遊覧航行している。
「はい、右右、真っ直ぐ」と、ナビゲーターの声が飛び交う。他のボートに激突しないように、ハンドル操作が委ねられる
操舵手の腕の見せ所である。大きく旋回しながらの走行も、挑戦欲が強く、面白がって、右に左にボートを意のまま誘
導する。
両脇は爺他でエンジン役でひたすらペタルを漕ぐことに専念する。
真夏の暑さは峠を越えたと言われるが、容赦ない日差しの暑さは半端でなくやはり暑い。
屋根付きのサイクルボートで日差しを避けているがもろに加重がかかる、エンジン役は絶えず漕ぎっぱなしで、体が暑く
なる。池面に時折吹き抜ける風が、自然の冷気を呼び、大変心地よい。
多数のボートが水面を何となく漂い、その合間を鴨の群れが、泳ぐ、遊休の空間は別天地のようである。

池には手漕ぎのボートとペダルを漕ぎでサイクルボートの2種が、用意されているが、スクリュウを廻し、走る
2人乗りのサイクルボートに大人2人、子供1人乗ってみる。
サイクルボートはごらんの通り、細い柱に屋根が付くシンプルなもので、水平面は360度何も無く、むき出しに
近い世界である。
あかさまを真ん中に座り、目の前のハンドル操作でサイクルボートの大事な舵取りを担う。両脇は爺他、2人で
エンジン推進役でひたすらペタルを漕ぐことに専念する。