昭和19年の小池町長は少通校の開校祝賀式や慰霊祭に出席するなどの間柄にあった。少通校生徒の援農作業では、
手伝いを受けた地元の農家が昼飯を御馳走し、東村山町の婦人会が少通校卒業式の手伝いもした。1944年11月の朝、
少通校11期生の繰上卒業生が小川駅から戦地に向かった際、一般乗客は汽車を降りて少年兵に車両を譲り、ホーム
の全員が汽車の煙が小さくなるまで手を振った。また、少通校の軍属として事務・炊事・守衛等に東村山の人が携わって
いた。軍属も少年通信兵同様に本部下士官から厳しい教練を受け、衛生兵から救護訓練も受けた。機密室の下士官から
手ほどきを受けての暗号電報の解読や、少通校敷地の農耕作業にも従事した。

1944年秋、大本営はフィリンピン方面での決戦のために第23師団を主力とする増援部隊を送ることに決めた。11月5日6日
に村松陸軍少年通信兵学校・東京陸軍少年通信兵学校の11期生も、半数近くが繰り上げ卒業となった。このうち南方要員
約630名が、少年戦車兵、少年砲兵と共に781船団のあつき丸・摩耶山丸。神州丸に分乗し南方に向かった。しかし船団は
11月15日に五島列島沖、17日済州島沖と2度に渡り敵潜水艦の攻撃を受け、あきつ丸と摩耶山丸が沈没多くの少年兵が
海没した。あきつ丸で94名摩耶山丸で77名が亡くなる。神州丸乗船および救助された少年通信兵は台湾を経てフィリピン
に到着したが、爆撃・飢餓・マラリヤに苦しみ、ここでも217名が犠牲になった。
1945年3月に残りの11期生も卒業し樺太・千島・満州・中国方面等に配置されたが8月8日にソ連軍の進攻を受け同軍に拘
留され多くの者が命を落とした。全国少通会作成の陸軍少年通信兵戦没者名簿には819名の名が記載されている。新潟県
五泉市の村松陸軍少年通信兵慰霊碑があり、少年通信兵出身戦没者の霊を合祀している。また11期生の遭難地点近くの
長崎県平戸市の自然公園に慰霊碑が建てられ、毎年関係者の参詣が行われている。

昭和20年5月バルテ峠を占領していた鉄平団がついに突破され戦車を先
頭にした米軍がは怒涛の如くアバリ街道を北に向かって突進した。～
6月下旬前人未踏の山岳密林地帯を途破敗戦間近、フィリピンで戦車を先
頭に米軍は怒涛の如く突進。鉄兵団は前人未踏の山岳密林地帯を踏破し
て最終陣地のブロック山へと後退開始。重い車両無線機や、戦車から脱し
てきたバッテリイを運ぶため、初めはロバや水牛を使ったが、山も奥に入る
にしたがいロバ、水牛も使えなくなって私たちの背に担うだけになった。
兵隊も飢えやマラりアに次々と斃れていったので無線機もだんだんと減っ
てしまい、軽量の94式3号甲や5号が僅かな通信力として残った。
～3号甲種無線機を使って軍司令部や出先部隊との連絡と一日に何回か
の時間通信を行っていたが、送信する時に疲労の極に達した身体には3号
発電機の重いのに全く閉口し、連絡が中々とれない時には交替で廻し方
を分担した。
また撤退中も通信だけは休むことが出来ず、谷間で状況の悪いときは空
中戦も「ダブレッド」「逆L」と無線機が小さいだけに苦労もひとしおであった。
・・・「電波の戦士」

陸軍通信所は東京・広島・南京・マニラ・バンコク等80系統の通信系を運用していたが、英軍の妨害電波に大変苦労した。
その妨害電波は終戦前日の8月14日突然中止「日本軍の無条件降伏」の放送を女性アナウサーが日本語で何回も何回
も一日中放送していた。こらはインドのニュウーデリーからの放送であった。
少年通信兵10期生

ビルマ中部メイクテーラ飛行場は昼夜とも暑く、飛行場の片隅の地下壕通信所が死に場所と覚悟を
決めたものであった。
アンテナはネムの大木に張ってあり、周波数の切り換えでアンテナを外しに登ると大きな蟻に体をかみ
つかれたのが今でも痛い思い出であった。ビルマからの撤退は苦しい行軍の連続で対空2号の無線機
は大きく重く苦労した。
少年通信兵10期生

実戦部隊で移動が激しくアンテナは立てず樹木に引っかけておくだけのため感度は始終悪かった。1回だけアンテナを建て
たら直ぐに敵の戦闘機が来て機銃掃射された。消耗品の補充は殆どなく古参兵の可能なかぎりの長持ち処理に助けられた。
通過途中の兵站で機材・物資の補充をしようにも若造の下士官には難しかった。主計官の机の前に半紙が下がり「ねばるな」
と物資補給に問答無用であった。しかし終戦となった途端、材料廠から喉から手が出る程欲しかった真空管・乾電池等が出る
わ出るわ、何故出し惜しみしたのか恨めしかった。展開中に栄養失調で落伍者が出ても補充がが来ない。分隊内の勤務割が
いよいよ窮屈となり連続勤務時間が長くなる。
少年通信兵10期生