2001年12月22日九州南西海域に不審船情報を入手した、海上保安庁の巡視船は工作船を追尾した。工作船は停船命令を
無視し逃走するため巡視船は海、空へ威嚇射撃するも、逃走するため、船体への威嚇射撃を行った。
その後、更に逃走し、巡視船に対し、自動小銃、ロケットランチャーによる攻撃を行い被弾し、保安庁側も被害を被ったが、同
船は自爆用爆発物と思われるもので爆発沈船した。漁船に偽装された北朝鮮の工作船と、海上保安庁の巡視船との日本海
海戦である。
工作船を追尾し、すざましい銃撃戦と自爆で、海底深く沈んでいった映像は丸で劇場劇を見るようであったが、現実に起きた
事件である。"国ぐるみで覚醒剤を密輸するなど犯罪をおこなうために、漁船のように偽装建造され、高性能の武器と小型船
艇を収蔵し高速に走りまくり性能を保有する舟と徹底的に訓練された工作員を載せた舟艇"と理解する。

工作船始め引揚げ品は海上保安資料館に展示されているが、膨大な展示品の一部にICOM製のリグであることに驚いた。
居並ぶリグは独特の顔(正面パネル)を持ったスタイルに特徴を持つ、両方ともICOM製品であった。
船体の爆裂からは避けられ、外見そのものは一部つまみが欠損しているものの、現役で使われていた姿のまま残されてあった。
異常な環境下にあっても堅牢な筐体姿は両機共、同じであったが、機器全体の金属部分やデイスプレイ部分に赤みを帯びた腐
食がかなり進んでいた。何れにしても263日間の海中放置による浸蝕を物語っていた。

最新鋭の無線機を前に如何なる流通ルートで彼等の手に入ったか、判らないが、偽装こらす工作活動の通信手段として、徴用
されている事実に改めて、複雑な想いで陳列品の前で立ちすくんでしまった。
ICOMのブランド力の強さに脅かされるが、恐らく開発者の意図しない部分まで浸透し、使われてているのでは無かろうか。
国家の管理体制が解かれ、一ハムとして自由に意向を伝えられる手段として無線機が使われる時代の到来を待ち望みたいが・・・

2002年政府方針を受けて、引き揚げプロジェクトが引き揚げ作業を実施、船本体と併せ引き揚げ品から実態が明らかにされた。
引き揚げられた遺留品の主力はやはり重・軽力武器であり、ミサイル、ロケットランチャー、機関銃とそのおびただしい種類と数
に恐るべき戦闘能力を持った工作船であることを思い知らされた。