気まま、気まぐれ、神経質な摩周湖は霧に包まれ、その姿はベールに包まれ、中々見せてくれない。
深い霧は益々、激しく、第一展望台では視界は数メータで歩くのも精一杯のところを白色のセンタラインと前車の
尾灯便りにおそるおそる走る。
霧の闇に入って名所の一つをこの目で確かめようとしたが、悪夢の霧は無常にも深く、無駄な抵抗であった。
悔しい思いもしながら、まさに何も見えづの幻の霧の摩周湖で帰ったこともあった。

2年後に再び同地を訪れ、厚い雲が立ち込める中であったが霧が消え、その姿を認める事が出来た。
遠い北海道に、中々来れぬ所であり、積年の願いもあって、神秘な姿を見た時は思わず興奮した。
湖畔に所々岩肌を見せて、沈む険しい山容の摩周岳(カムイヌブリ)が目に入る。
人をも寄せつけない傾斜の岸壁がせまり、自然の険しさの中にあるようで、より神秘な湖に映る。
湖に流入する川もないため、濁りの原因となる土砂や有機物を遮り、更に年間を通じて水温が低く、動物が
生息しにくいなどが重なり、透明性を保っている。

□摩周湖