国道243号付近に自衛隊の演習所があるのか、国道で何度か移動する車列に遭遇した。彼らは車列を組んで行くので、当たり前
であるが法を遵守する立場にあるので、長い車列の後ろに付いた時は観念し、流れに沿ってゆっくりと走るしかない。しかし、背後
から右に左に、位置を変え、追い越しの意志を伝えても、一向に動じぬ車列にしびれを切らした地元の車はタイミングを図って、大
胆にも2両抜きをやってのける強者も見受けられる。片側1車線、見通しの効いた直線道路とは言え、追い越し時は100㎞/h以上は
出ているとも思えるが、カミカゼ特攻隊のようである。
美幌峠の展望地の駐車場に一般車に混じって自衛隊の車両が休憩で大量に止まっていた。その車両が轟音と共に一斉にエンジン
がかかり出した。どうやら国道を阿寒方面に走り出した。彼らの後塵に付きたくないので、この場は見送り、時間を取って重ならない
よう彼らの後を追った。

雄阿寒岳は阿寒湖の東北に位置し高さ1371mの活火山、円錐形火山の雄阿寒岳をピンネシリ(男の山)と呼び、祭り事のある度に
敬った。鬱蒼たる原始林の緑うい覆われたこの山は登山するのも大変で、滝口から約6㎞の急な山道は大変で登に3時間程かか
る。頂上一帯は岩高(がんこう)蘭やこけももの高山植物で絨毯のように埋めつくされ、眼下を見れば樹海の底にインクを落としたよ
うなペンケトー(上の湖)パンケトー(下の湖)が見られ阿寒湖は勿論、遠くは摩周湖、屈斜路湖、斜里岳から根室半島まで至る眺め
は登山者にして、一瞬に疲れを忘れさせる程で北海道の特有の雄大さをもって有名である。・・・観光船案内より
頂上付近はご覧のような雲がたなびいている。

いよいよ、乗船。桟橋にご覧のような遊覧船が到着し、ダッシュで眺めの良い場所を確保する。
船の周遊は1時間25分、コースは図で示される通り、湖畔温泉を出発し、20分で阿寒湖の特別記念物マリモが見えるチュルイモスリ
と言う小島に寄り、上陸する。四季に変わる雄阿寒岳、雌阿寒岳の景色を眺め、阿寒湖随一の景勝地と言われる滝口を経由して湖畔
温泉に帰る18㎞のコース。位置関係を示す大島、小島、ヤエタイモスリ、チュルイモスリと4っつ島を巡る。

2008年12月封切られた中国のラブコメデイ映画「非誠勿擾(フエイチエンウーラオ)」が中国本土で大ヒットし、封切り1カ月後
興行収入約42億円を突破した。主演の2人が道東を旅し、網走、女満別、釧網本線北浜、阿寒湖、など馴染みの景勝スポットが
次々と登場している。そんな背景から中国では道東に興味を持つ人が増え、中国から大手旅行会社5社がロケ地を巡るツアー
も実施した程である。知床や阿寒湖のホテルや此処観光船など、観光地には必ず中国人の集団が多数居られるのも、「フエイ
チエンウーラオ」がブームの火を付けた事が判った。同映画を作った脚本・監督の馮氏の垣根を越えた感性とその影響の大き
さを改めて思い知らされた。一度、その映画を見たいものである。

阿寒湖に到着する。車の到着時間を予想し、移動車中から、遊覧船の予約を取っておく。
観光の目玉、阿寒湖から遊覧船に乗り、阿寒湖側から豊かな周辺の姿をのんびり眺め、秋の阿寒湖を堪能する。
阿寒湖は雄阿寒岳、雌阿寒岳に挟まれるようにして拡がる湖で雄阿寒岳の火山活動によって生れた、カルデラ湖でである。
湖水の周囲は26㎞水面の海抜420m、水深で一番深いところは44mあるが、比較的浅い湖である。透明度は季節によって
変わるが最高9m、湖水の面積は約13k㎡、丁度北海道地図に似た形の淡水湖である。湖周辺の豊かな原生林がクマゲラ、
ヒグマ、うさぎなど多種の動物が生息する。一方では湖の南側にはご覧のように温泉街があり多くの人で賑わい、外国人とし
て取り分け中国人も多く、国際化が進んでいる。

国道241号の阿寒湖に近い所に「双湖台」と言われる展望台がある。ご覧の通り鬱蒼とした原生林にペンケトー(上の湖)バンケトー
(下の湖)を遠望する、素晴らしいスポットがある。湖の形を良く見ると、その形が北海道の地形を表したように見えるのだ。これらの
湖と阿寒湖は約6000年前、一つの大きな湖であったが、雄阿寒岳の溶岩流によって分断され、現在の形になったと言われている。
高いところから俯瞰すると阿寒湖を取りまく周辺の神秘的な秘境の世界が覗ける。