エンジン音も軽やかに白波をたて、ほぼ満席に近い状態で美国港を水中展望船は出航する。乗船客は水中の展望室と外気をもろに
受ける船上室に振り分けられ、最初は船上側からの炯眼を楽しんだ。
入り江を囲むように防波堤が外洋に迫り出し、防波堤の先端に真っ赤な姿の灯台が、門番のように立っている。その脇をかなり早い
速度で通り抜け、いよいよ外洋に出て行く。空は雲もなく快晴で、風も余りなく、波もなく静かで、穏やかな40分旅の滑り出しであった。

奇岩・大小の岩、波で浸食された洞窟が点在し、多くの入り江と断崖絶壁にへばりつく様に生い茂る草の緑の人をも寄せつけぬ神秘的な
海岸にたどり着く。これが「シャコタンブルー」とも言われる海面はエメラルドグリーンの色が淡く濃淡を持ち、丸で絵の具を落とした様に実に
鮮やかに目に映る。海岸線に打ち上げるしぶきの白など、船上から迫るパノラマは圧巻で感動的である。
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外洋に出た水中展望船は大きく進路を変更し、岸壁に近い位置に方向を変える。船室から外の眺望をカメラに納める視覚に何時も
中国人の団体の群れに入る。日焼け防止に頭からすっぽり被るストールの乙姫さまの麗しいが姿が目に入る。ストール越しに透き
通るような白肌に目鼻だちが整った東洋系の美女が大きな一眼レフを抱えじっと海面を見つめていた姿が印象的であった。中国の
何処からか判らないが、こんな美女に、これも行きずりの旅の出会いであった。

いよいよ外洋から、海にせりだす切り立つ岸壁の険しい姿が見える。その岸壁から人工的に造られたテトラポットの積み上げと
コンクリート壁がせり立ち、妨波の役割を果たし、港を荒海から護っている。