そんな老兵も、愚痴もこぼさず、ダイニングで語り継げ、生活のなかで完全に入りこんでいた。
しかしそんな老兵も寄る歳に叶わず、音量調整用のボリウムの生命線である慴動面が劣化しスムースに抵抗の可変
が出来なくなってしまった。
このため、程よい音量に調整できず、大音量になったり、ささやくの様な小音量になったり、最早コントロールの効かな
い音源になってしまう。
全うする前の老兵の最後の悪あがきと、長い生命力に、十分役割を果たしたと、このまま成仏させることも考えた。
しかし、明らかにボリュウムの異常と判り、是さえ変えれば、何とかなると、確信を持っと蘇生にチャレンジしてみた。

アマチュア無線関連の機材を置いた数少ない販売店の一つである。かっての店主の意向から、屋上にそれとは
判るアンテナが鎮座し、ハム専門店の姿を留めているが、その主人が亡くなり、高齢の婦人が後を継いでいる。
JR中央線沿いに西八王子から高尾方面に向かうと、住宅地の一角に大きな看板を掲げてあった。カラス越しに店
内が見えるが、薄暗く、お客も輩を除いて誰もおらず、果たして開いているのか不安がよぎるが、やっていた。
目的のボリュウムがある旨の回答もとに、棚から多数のボリュウムの中から拡大鏡で当該品を捜し出してくれた。
「砂上の楼閣」で果たしてあるのであろうか、半信半疑で、部品探しに徘徊したが目的品に遭遇した。あちこち探
し歩きのすえ諦めずに何とか捜し当てた宝物との出会いは喜びはひとしおであった。
遥か希少な電子部品もなんと価格は210円と廉価で手に入ったのは想像外であった。

電子部品に秋葉へ行けばと思うが、遥か遠い秋葉に高い交通費を払ってまでも行く気になれない、電子部品とは
過疎の多摩地域であった。
あての無い店頭探しより、ネットを通じて、通信販売はいち早く、所望の品を届けられる時代でもあり、手っとり早く
通販も考えられるが、敢えて店頭で手にして品物選びをしたかった。
しかし、世の中それほど甘くはなかった。
身近な所にある量販店では電化製品を廉価版を大量に売る思考から、限られた需要の電子部品を店先に揃える
ことはなかった。それでも、聞いてみたが、何処も「置いてません」の一言であった。
それではと、八王子大和田の旧ムラウチは量販店の前に敗れ、撤収してしまったが、その跡地にブックオフがあり、
微かな望にかけて、駄目元で行ってみた。
ステレオ・TVの中古品が大量に並べられる中に、ジャンク部品が沢山あったが、その中から見いだす事が出来な
かった。