国王が臣下と国事を行っていた思政殿の西側の便殿。この建物は文禄・慶長の役で焼失したのを1865年に再建した
ものである。当時、政治・経済・文化の面で優れた業績を残した世宗（セジョン）大王と集賢殿（チピョンジョン・宮中に設
置した学問研究機関）の学者がここでさまざまな新しい文物を創り出した。

国王が生活する内殿の中心となる建物で、国王が寝室として使われていた場所。康寧殿は1395年創建され、心と体
が元気であれば幸せがくると言う意味から康寧殿という名前がつけられたそうである。
王の寝殿は時には王妃の寝殿となり、吉日を選んで王は王妃と一緒に夜を過して王子を生む。大事な王位継受のため
の子宝の巡り合わせのため良き日の選定も、客観的な裏付けを背景に決めたようであるが、そのための専門の担当官
も居た様である。

康寧殿のすぐ後ろにあった王妃の寝室で、中宮殿の建物。王妃の住まいなだけに、景福宮の中で最も華麗に飾られ、
表は両儀門（ヤンウィムン）で康寧殿と通じ、裏には人工庭園である峨嵋山（アミサン）が広がっている。王妃はここに
居住し、内命府のさまざまな仕事を処理してた。現在の建物は日本の植民地時代に撤去されたものを1994年に復元し
たものである。

国王は真ん中の部屋で休み、周りの８つの部屋では女官が宿直していた。明るい白地の基調に柔らかな日が差し込
み、もとより、女官の加護のもとで優雅な生活していた。右下の写真はまさしくスラッカン(王様の食卓)であるが、部屋
もそれ程大きくなく、華美では無かったがこれが現実の姿だったのであろうか・・・。

慶会楼は国王と臣下が参席する重要な宴会や外国使臣を接待する特別な宴会場であった。高い楼床に上がると西
方の仁王山の風景が屏風のように広がる。慶会楼は国王と臣下がめでたい出会いを楽しむ場所という意味からつけ
られた名前で、看板の字は太宗（テジョン・李朝第３代目国王）の王世子だった譲寧大君（ヤンニョンデグン）が書いた
ものである。慶会楼の島と池の真ん中には２つの島があり、池の炯眼はまた素晴らしい。
1412年に慶会楼は創建されたが、文禄慶長の役で焼失し、1867年、興宣大院君によって現在の姿に再建された。

朝鮮第４代王の世宗大王(1397～1450)は歴代王の中でも最も偉大なる業績を残した。ハングルを創成し、日時計、
水時計、天体望遠鏡、測雨器など多くの科学器具を発明するなど,政治、経済、文化、教育、科学など様々な治積を
残した文化創造の模範、学問の大王、発明の大王として民族の進むべき道を示した賢君である。・・・徳寿宮(トクス
グン)の銅像と掲示物から庭先には日時計が時を刻んでいた。鍋のような凹型の金物に刻まれた罫線が、太陽から
の陰が映り、見易い構造になっており、何百年も正確に時を刻んでいる。
これも世宗大王が残した有形の遺産であり、優れた才気の持ち主と、改めて感心する。